世紀の発見！！

昨日、歯科を受診してきた。デッド・ゾーンの洗浄。

「Bergamot　VS　Toothache」　①

「Bergamot　VS　Toothache」　②

「Bergamot　VS　Toothache」　③

「Bergamot　VS　Toothache」　④

「Bergamot　VS　Toothache」　⑤

「Bergamot　VS　Toothache」　⑥


歯科医は意外にも気が短い人だった。
しかし気が短くても、怒るポイントがズレているとそれなりに面白くもある。
僕が診察台に座ると、いちばん若いだろうと思われる歯科助手が報告に来た。

「先生、アルソックの人が来てます」

点検か売り込みか。なぜか、先生は即座に怒りを表明した。

「入口の正面からどけなさい」

歯科助手はキョトンとしている。もちろん先生のいる診察室から入口の状況はまったく見えない。
立ちつくしている助手に向かい、先生は面倒くさそうに説明する。

「ピンポンピンポン鳴って気が散るんだよ。とにかくどけなさいって」

どうやら玄関入口の自動ドアは、来客に反応してピンポン鳴るシステムのようだ。
そういえば何度か続けて鳴っていたような気はする。しかし助手は、その先の指示を待っている様子だ。
確かにこのままアルソック人のところへ戻って、
「ちょっとどいてください」と言うだけでは完全にガキの使いだろう。
何かもっと言うべきことをもらってからでないと動けない。
そんな覚悟が感じられる、というよりは、助手は単にボーッと突っ立っている。わりとのんきな人らしい。
だからこそもう一度同じようなことが言えるのだ。
ビジネスシーンで何度か経験もしているから、気持ちわからないでもない。

「あ、はい。で、アルソックの人みたいなんですけど・・・」

「だからどかしなさいって。ピンポンピンポンってまったく！」

笑いを殺せなかった。ピンポイントでツボってしまった。
とにかくこの先生は、ピンポンピンポン鳴ってしまうのが嫌で嫌で仕方なくて、その先はないのだ。
結局それ以上何の指示も出ぬまま、ピンポンが鳴らなくなったことを確認し治療は開始された。

１０分ほどで治療を終えて診察室のドアを開くと、ドアで何者かをしこたまひっぱたきそうになった。
すぐそこの明らかに不自然な位置に、アルソックの人らしき二人が立っていたからだ。
おそらく、助手は中で待っててくださいと言ったと想像されるが、
彼らは明らかに、立っていたのではなく立たされていた。
話は何ひとつ進んでいないままだったのだ！ピンポンをみだりに鳴らしすぎたせいで。

それにしても、ただその人が立っている位置を見ただけで、それが自分の意志で立っているのか、
誰かの指示で立たされているのかがわかるというのは、世紀の発見だった。
不自然な位置に立っている人は、必ず立たされている。
そして問題の手前で怒ってしまうと、話が進まない。

【教訓】

・先を走り過ぎないこと。

・自分の価値観だけで夢を語らないこと。